国際規格ISO 29990には、学習サービス事業者が満たすべき基本的要求事項が規定されています。しかし、学習サービス事業者がその基本的要求事項を満たしているかどうかを確認するための第三者による適合性評価の実施方法に関しては、各認証機関に委ねられております。

日本では、学習サービスの質の保証・向上を目的としたISO 29990の認証の実施枠組みを検討するために、利害関係者、学識経験者及び専門家により構成される「ISO 29990サービス認証スキーム検討委員会」が2011年に設立されました。(同委員会では、JAMOTE(人材育成と教育サービス協議会)、全国専修学校各種学校総連合会、社団法人全国産業人能力開発団体連合会が、合同事務局を務めています。また、同委員会には、オブザーバーとして文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省が参加しています。)

2011年6月には、同委員会により、ISO 29990の認証をする際の手順や手続きを記述した「ISO 29990:非公式教育・訓練における学習サービス – サービス事業者向け基本的要求事項の認証スキーム(初版)」が開発されました。

その後、ISO 29991やISO 29993の発行に伴い、改訂を行ないながら「学習サービスの認証スキーム」CSLS: Certification Scheme for Learning Services-Japanに基づいた審査・認証活動を行なっています。

ISO 29993やISO 29991の認証を受けようとする学習サービス事業者は、下図のとおり、自らによる第一者評価(内部監査)と消費者による第二者評価(消費者判断)だけではなく、認証機関による第三者評価(外部監査=審査)の3つの側面からの評価を受けることになります。

学習サービス評価の3つの側面
図:学習サービス評価の3つの側面

認証機関による認証のプロセスには、申請、事前審査(自己評価報告書の提出及びその審査等)及び現地審査(要求事項に関するエビデンス<信憑書類>及び実際の手順の確認、ファシリテータ等へのヒアリング等)があります。エビデンス・ベースによる評価・認証となっている点が特徴です。

これらのプロセスを経て、要求事項を満たしていると確認された事業者には、認証が付与されることになります。他方、要求事項を満たしていないと判断された事業者には、是正活動・是正報告書の提出を求め、その審査を継続することになります。

また、様々な目的や形態で学習サービスを提供する事業者に単一的な認証基準を適用するのは難しいため、認証の際には、下表のような認証区分が設けられ、それぞれの区分の特性に合った認証基準が適用されます。

事業者区分
A群
法令に基づく公的な制度(枠組み)によって一定の質保証がなされている事業者
B群
A群以外の事業者
サービス区分
職業に関する能力の向上を目的とした学習サービスの質の向上のための基準として利用されることを想定
進学及び学力向上を目的とした学習サービスの質の向上のための基準として利用されることを想定
健康・芸術・教養などの生活を豊かにする学習サービスの質の向上のための基準として利用されることを想定

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